バランスセラピー学とマインドフルネス
- 2016.09.19 | ストレスケア
マインドフルネス
マインドフルネスという言葉が聞かれるようになりました。マインドフルネスにはたくさんの類義語があり、気づき、集中、などに言い換えることもできます。フルネスの反対は、マインドレスネス(心や意識のない)ですが、注意力の低下、ボーとしている、集中力欠如なども当てはまります。
つまり、マインドフルネスとは、今という瞬間に、アレコレ判断しないで、意識して注意を向けることであると考えることができます。
平成25年に設立されたマインドフルネス学会では、マインドフルネスを、「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」と定義。 なお、観るは、見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れる、さらにそれらによって生じる心の働きをも観る、という意味である。としています。
しかし、「評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観る」という部分は、少し難解で論理的な解釈ではなく、実践的な理解が必要になる気がします。
マインドフルネスの考え方は新しいものではありません。古くからすでに述べられているものですが、呼び方を変え、科学的な根拠を明らかにすることで、哲学的、宗教的なイメージを払拭させる効果も期待できます。
只管打座 (道元)
一大事と申すは今日ただ今の心なり (正受)
初心の人、二つの矢を持つことなかれ (兼好)
悟りということは如何なる場合にも平気で死ぬことかと思っていたのは間違いで、悟りということは如何なる場合にも平気で生きることであった (子規)
マインドフルネスの要点は、ストレスになっている「今の心の働きを一時的に止める」ということに他なりません。日常的にオーバーワークになっている脳の働きを一時的にクールダウンさせるのです。例えば、瞑想をしなくても食事を楽しむ、趣味や好きなことをして、注意の方向
を自覚的に変えるということがポイントです。
自己受容は、今の思考を「止める」のではなく、今の思考を超える「ブレークスルー」といえます。ものごとを考える働きは識別や分別によって成り立っています。つまり、比較する働きです。「大きいか小さいか、高いか低いか、上か下か、良いか悪いか、優れているか劣っているか、善か悪か、生と死、健康と病気」など。さらに、自分と他を区別する働きともいえます。
自己受容は、これらを超越してすべてが自己であるという認識です。「自即他」という識別を離れた世界観は人間を自然の一部と観る世界観や「中観」に通じています。自己受容には識別作用が働かないので、対立がなく、否定もなく、怒り感情や恐れもありません。つまり、ストレス反応を打ち消す力を持つ認知なのです。
そして、ホメオストレッチは、この自己受容の向上に大きな影響を与えてくれます。なぜなら、「評価をせずに、とらわれない状態で、ただ観る」という生理的条件を作り出してくれるからです。ホメオストレッチの法則により、生理学的リラクセーション状態を作り出すことは、上位の脳(識別や怒り、恐怖)の働きを抑制し、自然性の脳である脳幹部の活性化を実現してくれます。そのことにより、心の働きにとらわれない、真の意味での静寂を獲得することが可能になります。