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お知らせ

2015年秋 卒業生の皆様へ

 人生をストレスという科学的側面から見ることで、社会に起きている諸問題を解き明かしてきました。私たちに何が起きているのか、何が問題なのか、それはどこからやってきたのか、解決策は何かなど、皆さんには、これまでうかがい知れなかった問題の原因や解決策が見えてきたのではないでしょうか。

 ストレスは何か形が見えるものではありません。それだけに、ストレスへの考え方は様々です。そのため、それぞれの人のそれぞれの趣味趣向がストレス解消になると誤解され続けています。もちろん、それでストレスエネルギーが減退すれば良いのですが、残念ながら一時的に回避、あるいは逃避しているに過ぎません。


現代社会のストレス源は、自然の驚異でもなく、生命を脅かす外敵ではありません。それは、自己評価が低下していく様々な心理的要因と安心できる生活を脅かすような社会的変化です。つまり、個人要因と社会要因が複雑に絡み合って、私たち自身が気づかないうちに、ストレスは蓄えられ続け、そのエネルギーは爆発する機会を伺っています。


 社会は常に変化しています。自然が変化することで安定を保っているように、社会にも変化が常住しています。現代社会の特徴は、変化そのものではなく、その変化のスピードにあるといえます。


昔は数世代かかった変化が、今は僅かの年数で起きています。現代に生きる私たちは10年も足らない期間で新しい世界に直面しなければなりません。

これは物理的な世界だけではなく、道徳や倫理、知的な世界も変わり、以前の解釈や価値観は通用しなくなってきています。このため、社会の変化と自分のあり方に大きな隔たりが生じています。自分自身が社会の変化のスピードについていけなくなっているのです。


 昔は通用した「人生観」は、今は、通用する部分と通用しない部分とに分かれています。

 現在の状況に適応した望ましい人生観や世界観を持つことが、イキイキとした生活を維持するために必要であるのに、社会の変化のスピードが速すぎるために、社会と自分とのバランスをとることがうまくできなくなっています。変化した社会において「バランス」を作り出すのは、自己成長を目的とした「学習」が必要になります。


 今の社会では、若い頃に学習したことが役に立つことはありません。そういう意味で、すべての人が新しい学習をしなければ、幸せから遠ざかっていくのは明白です。

 このような社会にふさわしい学習とはなんでしょうか。それは、少なくとも、若い頃に学んだら、あとは学ばないという内容ではありません。新しい、いままでにはなかった学習の道であることだけは確かです。


皆さんは、バランスセラピー学を最初に学んだときに、自然とは「極端でなく、偏らず、ありのまま」であるという言葉に出合われました。

この言葉の中にバランスセラピー学のすべてが集約されており、この言葉から多様なバランスセラピー学の理論や技術が溢れ出ています。


そして、その言葉の意味を、様々な方面に広げ、多くの知識、そして技術に出会いながら探求してきました。同じ言葉でありながら、そこから感じ取れる意味は、学習の前と今ではもちろん違っているはずです。


言い尽くせぬ「自然性」について、感受性、経験、理論での説明を試み、ホメオストレッチの実践による生理学的リラクセーションを支えに、学習を進めてきました。

しかし、自然に学ぶという姿勢に終わりはなく、バランスセラピーの活動の中で、あるいは自分自身の生活体験を重ねながら、テキストを読み返して心を練っていく度に、そして何よりホメオストレッチの実践の中で、バランスセラピー学の理解は深まっていくものであると考えます。


そして、成長の場における自己受容は、自分にとって嫌悪や違和感があるもの、まったく分からないものや知らないこと、体験していないことが対象になります。対象は私たちにとって難題であり、不思議なものです。


英語にワンダフルという単語があります。ワンダーは不思議、フルはいっぱい。不思議なことが、人間の考えが及ばないことがたくさんある。それが素晴らしいというのです。

そこには、自分自身が成長することで、新たな発見があり、気付きがあり、喜びや幸福があるからです。


そういう意味で、自己受容とは、新しい道を切り開くための学ぶことを学ぶ、体験と自己を統合していく連続性です。


 労働安全衛生法の一部を改正する法律が、平成26年6月25日に公布されました。
職場のメンタルヘルス対策に関しては、新たにストレスチェック制度の創設があり、関連する省令・告示・指針は、平成27年4月15日に公表され、施行期日は、今年平成27年12月1日です。


ストレスを把握していこうという方向は、これまでのようにストレスを精神論で片付けることから考えると飛躍的に進歩してきています。しかし、事業者はストレスチェックを受けられる環境を提供する義務はありますが、労働者の方にストレスチェックを受ける義務はなく、たとえストレスチェックの結果が悪くとも、医師や専門家の面接や指導を必ず受ける義務はありません。義務ではなく労働者の判断に委ねられています。労働者の選択の自由が考慮されているわけですが、受けた人のストレスへの理解がなければ、せっかく検査した結果が無駄になりかねない状況です。


今回のストレスチェック法案施行によって、厚生労働省としては労働環境を良くしたいという意図があります。しかし、それによってすぐに労働環境も改善されるとは考えにくく、労働者の判断に委ねられている部分が多いことを見てもわかるように、あくまで自分の身は自分で守る必要があります。


 ストレスをコントロールしていくためには、自分自身を自覚的に成長させていくことが必要になります。日々の生活で出会う様々な不合理な出来事をどう考え、どう乗り越えていくかという精神性の成長です。また、刺激の多い日常生活で蓄積していくストレスを緩和させる方法を知らなければなりません。


「しあわせ」の原意は、「仕合せ」出会うことに仕えることです。出会うことを一々、幸・不幸の判断をしないで、その体験に仕えていくこと、つまりは、人生は何を体験したかの集まりではなく、体験をどう考え、どう受け止めたかによる感情の集まりなのです。そういう意味で、バランスセラピー学を学ぶことは幸福学を学ぶことと同じです。


ストレスケアカウンセラー、BTUの卒業生が幸福な社会への手がかりとして、少しでも社会に役立つことを目指して、これからがスタートになります。


最後に皆さんの学業のために、これまで様々なご支援をされたご家族にもこの場を借りて感謝の意を表します。皆さんのご活躍とご健康を祈念して、送る言葉とさせていただきます。