美野田啓二のバランス通信「触れることは生きること」in福岡 vol,3
- 2010.11.4 | BTUブログ
1248年ドイツのフレデリック2世が、
触れたり話しかけたりすることをまったくしないで
赤ちゃんを育てるとどうなるかという実験をしたところ、
50人全員が1歳の誕生日を迎えることなく亡くなったという記録
(サリンベーン.歴史家)があります。
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近年では、マイアミ大学のティファニー・フィールドが
第九回小児科会議において触れる実験を行なった結果、
受けた群は、受けなかった群に比べて体重の増加が著しく、
増加率は受けなかった群より31%も高かったという発表をしています。
他の効果としては、情緒の安定、睡眠の増加、無呼吸発作の減少、
入院期間の短縮などが報告されています。
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さらに、クラウスとケンネルの研究によると、
出生直後に赤ちゃんを母親に抱かせるグループと、
離してしまうグループに分けて研究しました。
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出生直後の母子の接触は、
その後の小児の発育に重要な影響を与えます。
すなわち、出生直後、新生児を母に接触させ「触れ合い」をさせると、
これらの母子相互作用を欠如させた新生児より、
その後の「体重増加」・「おしゃべりの開始」・「言葉の豊富さ」が
2歳の誕生日の時点で明らかに有意差がありました。
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やさしく触れられるという行動は、
相手から肯定的に受け止められていることの現れです。
それを感じられることが、脳の発達はもちろん、
人間の生存にとって、食欲や睡眠より遥かに重要なのです。
だからこそ、安心と保護感は幸福感とイコールで結ばれるのでしょう。
集団欲(関係欲)は人間の命綱なのです。
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感受期、臨界期とよばれている出生後1時間以内に、
脳幹部の支配を受けて起こる本能的行動の中に
自然な母子交流があります。
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ホメオストレッチは、
「暖かい交流(安心と保護)の原体験」を通じて「生存条件」を
整える基本的な働きがあります
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また、ホメオストレッチをおこなう人(母)は、
受ける人(子)から「愛」を引き出されている
行動ともいえるのです。