小学校におけるストレスケア研究
- 2013.10.24 | ストレスケア
背景
ストレスと感じる対象(ストレス刺激)は、
小学生においても多岐にわたり、
家庭環境の問題から友人や教師との対人関係における問題、
勉学に関する問題までさまざまである。
ストレス刺激に耐えられない場合には、
身体面の反応(頭痛・腹痛・嘔気・倦怠感など)、
心理面の反応(うつ・不安・イライラ・不眠・無気力など)、
行動面の反応(いじめ・暴力・通勤通学に関する変化など)
が生じうるが、
これは、成人のみならず児童にとっても
同様の現象である。
近年、児童のうつ状態や不登校などが社会問題として
取り沙汰されていることは、周知の事実である。
とりわけ児童では、上記に代表されるストレス反応が、
やがて、青年期以降の人格の偏りや精神疾患へ発展していく可
能性もあり、早期の対処が必要となる。
ストレス反応に対処する非薬物療法のひとつとして、
リラクセーション法の効果が報告されてきたが、
これは、学校における取り組みも徐々に広がってきており、
その成果が注目されつつある。
そこで、増大する児童のストレス反応の改善を期待して、
リラクセーション法のひとつであるホメオストレッチを
活用することとした(※ホメオストレッチは、全身の筋をリラックスさせることにより筋バランスを調整し、心身のリラックス状態を得るリラクセーション法の一つである)。
目的
児童に対し、リラクセーション法のひとつである
ホメオストレッチを施し、筋バランスの改善を示す
脚長差の改善度、およびストレス反応の改善度を
検討することを目的とした。
対象
ストレスケアのためのホメオストレッチの概要、
および研究にデータを使用する可能性があることに
ついての説明を行い、保護者とともに同意の得られた
小学校の生徒4年生77人および5年生69人(2002年1月現在)
方法
2002年1月~2003年1月に、休憩時間・放課後に校内において、
BTUのボランティア15人により、1回12分のホメオストレッチを、
4-12日間に1回の割合で全31回施行した(長期休暇中は施行せず。)
ホメオストレッチ介入後、脚長差、抑うつ・不安感情、
不機嫌・怒り感情、無気力改善がみられた。
特に、無気力、4(現5)年生男子における脚長差、
5(現6)年生女子における抑うつ・不安感情、
5(現6)年生男子における不機嫌・怒り感情については、
有意な改善がみられた。
最終介入日から85日間のホメオストレッチ中断を経たのちにも、
脚長差、ストレス反応の各値の悪化はみられず、
抑うつ・不安感情に関してはさらに改善をみせた。
結論
小学校高学年児童に対するホメオストレッチの継続は、
左右の筋バランスの改善とともに、
ストレス反応の改善をももたらし、
抑うつ・不安感情、不機嫌・怒り感情、無気力は
明らかな改善を見せた。
これにより、ホメオストレッチは、
成人のみならず児童においても、
ストレス反応へのリラクセーション介入の
一手段として有効であることが示唆された。
また、ホメオストレッチ終了後のフォローアップ期間に
おいても各指標とも悪化せず、効果の持続が示された。