カウンセリング効果の研究
カウンセラーの実力は何で測ればよいのか。
「エビデンスにもとづく カウンセリング効果の研究」
(ミック・クーパー)はそんな疑問に一石を投じている。
本書は、心理療法、カウンセリングの効果に関する
多量の研究がまとめられ、症状、カウンセラー、相談者の要因、
治療関係、技法などによって分類されている。
ストレスケアカウンセリングは
ホメオストレッチの科学的検証をはじめ、
エビデンスを重視している。
(エビデンスが他のものと比べて多いのは
認知行動療法である。
様々な年齢、問題の種類の中で、
認知行動療法が持つエビデンスは圧倒的に多い)
しかし、エビデンスがなくとも
単に「証拠が存在しない」ことを意味するのであって、
その技法に「効果がない」ということを示す訳ではない。
本書では、治療における変化の要因の研究結果を
次のように紹介している。Assay & Lambert(1999)
1・相談者の変数と治療外の出来事(40%)
2・治療における人間関係(30%)
3・期待感とプラシーボ(15%)
4・技法・モデル要因(15%)
エビデンスは、カウンセリングを利用する相談者にとって、
選択肢の一つに過ぎない。
カウンセラーと相談者の相性、出会うタイミング、
カウンセラー側の制約と相談者の制約、相談者の社会的背景など
様々な要因が絡み合っている。
一見、カウンセラー側の都合の良い言葉に聞こえるが、
カウンセリングの効果は、「積極的に生きることを選択した人」
の方が効果的であると言える。
また、望んでいない(期待感がない)、
カウンセラーを信じていない(人間関係)が
加わるとカウンセリングの効果は極めて希薄となると言わざるを得ない。
日本とはカウンセリングが育ってきた社会的環境や
価値観が大きく異なる国のカウンセリング研究エビデンスを、
ストレスケアカウンセリングの実践にすぐに役立てせることはできないが、
考えさせられる部分は非常に多い。