いまさら聞けないストレスの話し(2)
- 2011.05.26 | ストレスケア
さて、いまさら聞けないストレスの話です。
セリエのストレス学説は、生体の内分泌現象を中心に
展開されています。
内分泌とは、体内の細胞が科学物質を血液中に放出することで、
いろいろな器官の活動をコントロールする役割を持ちます。
この科学物質をホルモンといいます。
特に、セリエのストレス学説で重要な器官は、副腎皮質と副腎髄質です。
有害なストレス反応はどのような経過で進むのでしょうか。
まず、ストレスを受けると生体は3つの反応を引き起こします。
1・副腎皮質の肥大
2・リンパ組織の委縮(胸腺など)
3・胃腸の内壁の出血、腫瘍
これらをセリエは非特異的反応と呼びました。セリエは研究の中でラットを
いろいろな方法(例えば異物を体内に注入、水攻め、過労)でいじめています。
その結果、体内の組織にはいつも同じ変化(非特異的)が
現れることを発見したのです。
非特異的とは、原因が異なっても同じように現れる症状のことで、
これを不定愁訴という場合もあります。
このような現象を引き起こす理由は、物理的ストレス(主に外傷やウィルス、病原菌)
によって脳下垂体→副腎皮質刺激ホルモン→副腎皮質→コルチコイド
→細胞の内分泌系の経路と
主に精神的な悩みや不安、葛藤などが原因で、自律神経系に影響を与えて
自律神経→副腎髄質→アドレナリン→細胞の自律神経系の経路により
引き起こされていきます。(自律神経系はセリエ以降の研究)
このように、生体は物理的、精神的ストレスに耐えて跳ね返そうとするのです。
この時期を防衛期(抵抗期)と呼びます。
しかし、この抵抗は長くは続かず、やがて疲弊期に入ります。
また、防衛期は向き合っているものには適応しようとしていますが、
それ以外の適応力は減退していき、結果的に適応の範囲が狭くなるのです。
無理なストレスは、それを跳ね返そうとして生体の抵抗力を引き出しますが、
これは見せかけの適応で、加え続けられるストレスに懸命に
耐えている状態なのです。その結果として生体の消耗が激しくなり、
極度に疲労していくことになります。
動物のストレスは外敵から逃れれば短時間で決着がつくのですが、
人間社会のストレスは、そう簡単にはいかず、深刻極まりない問題です。
特に現代社会の中で大きなリスクを持っているのは、
自律神経系への影響です。