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お知らせ

講演会報告!世界一幸せな講演会を満喫! 「幸福度世界一のデンマークに学ぶ」

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2009年10月26日(月)に福岡中央市民センター、10月29日(木)に東京本校の近くにある芝浦港南区民センターにおいて、BTU主催の講演会「幸
福度世界一のデンマークに学ぶ」が開催されました。
この講演会は、今年2月にBTUがデンマークの社会福祉の現場研修の際、「日欧文化学院」にお世話になったご縁で実現したものです。デンマークは、イギリ
スの大学機関が毎年実施している「幸福度調査」で、5年連続して第1位を獲得している福祉国家です(2006年発表)。因みに、日本は「第90位」です。
今回の講演で、デンマークと日本の違いがどこにあるのか等、これからの生活のヒントとなる話を数多く聞くことができました。従って、満足度の高い「世界一
幸せな講演会」となりました。
講師は、デンマーク社会省(日本の厚生労働省)の事務次官補であるフォウド・スヴェンセン氏と日欧文化学院の千葉忠夫学院長で、千葉先生は通訳も務めてく
れました。ここで改めてお二人の講師にお礼を申し上げます。ありがとうございました。

「ゆりかご以前から墓場以降まで」の福祉

20091202_photo02.jpgイギリスの社会保障は、「ゆりかごから墓場まで」といわれています。今回の講演でデンマークは、そのイギリスを上回る「ゆりかご以前から墓場以降まで」の
紹介をしました。デンマークの高齢者福祉の基本方針は、「継続性」「自己決定」「自己資源の開発」です。
この考えは、「今まで通りの生活が続けられ(継続性)、他人ではなく自分で意思決定し(自己決定=個人尊重)、生きがいを持って生きる(自己資源の開
発)」という意味があります。
その具体的事例は、65歳以上を高齢者として、掛け金無しで年齢に達すれば年金が全員に支払われる「国民総年金制」が実施されいます。それに24時間の介
護体制が充実した福祉施策が、今現在デンマークで実際におこなわれています。
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医療費面では、病気や怪我の内容に関わりなく、原則全て無料だそうです。この制度を支えているのが、国民全員に掛かりつけの「家庭医」が割り当てられてい
て、病気などでは先ず「家庭医」で診てもらう仕組みです。
デンマークでは、病気になった人の85%が「家庭医」で解決しているとの統計データがあるそうです。その結果、総合病院に行かないので医療費削減に貢献し
ています。
千葉先生は、40年以上も前に福祉の勉強のためデンマークに渡り、その後社会福祉活動を始め、日本からの社会福祉研修を受け入れる学院を設立されました。
このキッカケは、当時の日本での社会福祉
には限界を感じたからだとのことです。それでも日本人として、どうしたらデンマークのような
福祉国家になれるのかの想いから、こうした講演活動をしています。だから今回の講演会で
「日本を良くする方法を参加の皆さんと一緒に考えたい」と強く訴えました。

日本は幸せな国になれるのか

(1)幸福の方程式

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幸福の国とは、住みよい国です。この住みよい国とは、身近な教育・医療・仕事が充実していることで、
生活し易い国であると定義できます。然らば、現状の日本はどうでしょうか?経済大国ですが、
社会福祉国家(国民の生活を保障する)ではありません。更に、住みよい国は、人間主体=民主主義=主権在民でなければなりません。
この民主主義には、自由・平等・博愛から成っています。ここで自由とは、自分の責任を果たすことです。
平等とは、公平なことだけでなく、介護の例で言えば、その人に合った支援です。
そして博愛とは、連帯のことでお互いに助け合って生きていくことです。
これらの構成要素が一つでも欠けていると、幸福の方程式が成立しません。

(2)国民が理解すべきこと

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デンマークでは、この方程式が立派に成り立っています。例えば、税金は国民から
集めたお金なので、再配分するという考え方が国民、政府、行政機関全てに徹底して
います。だから、選挙の投票率は、90%以上なのです。こうしたことを日本の国民が
理解することが必要です。更に、デンマークとの違いで、日本は女性の
国会議員が少ない。多くの女性が社会で活躍されているならもっと多くの代表を
国会に送るべきと強調されました。因みに、デンマークでは、殆んどの女性(主婦も含めて)が職業に就いていて、40%が女性議員です。

(3)高福祉高納税

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社会福祉のキーワードは、国民教育、社会保障、医療保険(医療制度)、労働市場(労働権利)、
ライフライン(上下水道と情報インフラ)であると述べられました。
これらを充実させることで国民が安心して生活できるのです。そしてこれは、国民の税金で賄われています。
だから高福祉には、お金が掛かるので税金が高くなります。現在、デンマークでは直接税が38~62%で、間接税が25%です。
こうした「高福祉高納税」の仕組みを維持するには、国民と政府(政治家を含めて)の信頼関係が必要です。
その信頼関係があるから成り立っているのです。

●●●● 東京講演での参加者との質疑応答 ●●●●

この講演会には120余名の方々が、2時間以上にも及ぶ講演を傾聴されました。
残された時間で終了時間ギリギリまで会場方々との質疑応答が熱心におこなわれました。

(1)デンマークの高い税率を子ども達にどのように教育していますか?
[回答]:この問題は、教育の中でも社会教育をどうしているかという問題です。
デンマークでは、連帯をどう学ぶかという視点で、義務教育の段階で昔の歴史から社会福祉の原点を学んでいます。
特に、日本の学校唱歌のような歌を唄うことで「連帯」が生れていると思います。

(2)デンマークでは不登校やイジメの現状は、どうなっていますか?
[回答]:正確な数字は把握していませんが、小・中学校では不登校の生徒が増えて
います。しかし、親のしつけがシッカリしているので、日本で起きている陰惨なイジメの
ようなものは聞いていません。だから不登校やイジメが社会問題となったこともありません。

(3)デンマークの高福祉高納税の満足度をどう受けとめています?
[回答]:デンマークでの社会福祉制度と税制の満足度は85%です。従って、15%の人は不満足だと思っています。
理由は分かりません。お金を払いたくない人がいることも事実です。
障害者にも平等なのだから、特別に出す必要もないという人もいます。
しかし、連帯精神でお互いに助け合う必要もあるという考え方もあり、満足度が高いのだと思います。

(4)デンマークの医療制度で代替医療(特にストレスケア関係)はどうなっていま
す?
[回答]:デンマークでの代替医療は、理学療法や臨床心理が主だと思います。
残念ながらBTUのようなストレスケアは、現時点ではありません。

(5)デンマークのマスコミは、政府や政治家に公平な報道がされているのでしょう
か?
[回答]:デンマークでのマスコミの役割は、政府や政治家の活動を監視することです。
ですから国民の立場で報道しているので、非常に透明度が高い報道が成されています。
国民が信用して投票した政治家の活動が分かるオープンな仕組みになっています。