カウンセラーの心得
- 2012.06.5 | 自己実現/自己向上
カウンセラーを目指す人の中には、「人が好きだから」「自分の経験を活かしたい」「自分は傷ついているから傷ついた人の気持ちが分かる」などの動きが少なからずあります。
しかし、このような動機は、逆にカウンセラーにとって、無用のものであることを知らなければなりません。
人間は心理的に成熟するためには一人でなくてはならず、その孤独の独習に耐えられなかったものは、人間的成熟が停止してしまう可能性があります。
私たちには孤独感や疎外感、それから落ちこぼれるのではないかという不安感にさらされて精神的に辛い時期がありますが、この孤独の時が、人間的成長をしている時期になります。
私たちの自己成長は母親が子を産む陣痛に似て痛みを伴います。しかし、その後に起きることは新しい精神の誕生です。
精神的に辛い時期に自分自身を生成する様々な自己生成因子が改善され、人間的に成長していくことが出来ると考えることが大切になります。
人生で味わうそれぞれの人の、それぞれの悲しみは、実は私たちの人生を豊穣なものにしています。
もし、悲しみや憂い、挫折、失意、喪失体験などが一切ないとすれば、人の幸福をつくるどころか、心を砂漠化してしまうことにもなります。
ここで最も伝えたいことは、「苦しい時期は誰にでもあるが、実はそれは価値ある時期であって、その時期の過ごし方によって、その後の人生における成長が大きく変わってくる」ということです。
そのことをカウンセラーも相談者も理解して、その時期の過ごし方に価値を見出しておく必要があります。
精神的な苦痛を伴っている時期というのは、実は新しいスタートへの準備であることを忘れてはなりません。