いまさら聞けないストレスお話(3)
- 2011.05.28 | ストレスケア
いまさら聞けないストレスお話(3)
ストレスの要因である不安とか恐怖は、
人生の中でこれに直面する可能性を予期しておきるものです。
人間の身体は、このような心配ごとを骨格筋によって表現しています。
また、人間の展望的イメージは神経→筋回路の影響で表象として蘇らせています。
つまり、われわれの過去や将来に対する時間的イメージは、
骨格筋のコントロール信号に支配されているのです。
生理学者のチャールズ・ベルが示唆したように、
筋肉→末梢神経→脳→末梢神経→筋肉から成り立つ複雑な回路が、
絶え間なく反応を繰り返しています
また、ノーバート・ウィナーは工学的な原理に従って、
これらのシステムを解明しています。
したがって、骨格筋全体、特に中枢神経との関係が密接な抗重力筋群の
緊張を体系的に探し出し、突きとめていくことが必要になります。
この評価法については、アローバランスグラフでアセスメントすることが可能です。
次に、骨格筋の緊張を解放する臨床的介入です。
これは、ストレスケアカウンセラーによって、
副交感神経を優位にするホメオストレッチの援助により解決していきます。
要するにストレスケアカウンセラーの初期介入(導入期)では、
相談者の持つ持続的で不必要なコントロール信号を発見して、
不安を起こしている直接的な骨格筋の原因にアプローチするものです。
つまり、骨格筋を慎重に操作することで、
心を含む身体全体の働きをコントロールしていくことが可能になるのです。
例を上げてみましょう。
膝の下あたりをポンと軽打すると脚がピクッと反応する。膝蓋反射です。
この膝蓋反射は緊張が強まればそれだけ大きく反応します。
これと同様に、いつもイライラして腹を立てている人は,
全身性の緊張を持っているために、少しの刺激で大きな反応を起こすことになります。
この状態は、慢性的な骨格筋の緊張状態から主に起きています。
ホメオストレッチ後に膝蓋骨反射をチェックすると緊張が軽減したことが分かります。
人間社会の不安や心配の直接的原因は、可能性を予期するために
発生した筋緊張が直接的な影響を与えています。
この予期された不安や心配を解消するには、
骨格筋、特に抗重力筋の緊張を緩和させることが極めて有効です。
このように、不安や心配などの心理社会的問題を扱う場合には、
必ず筋システムの原因的な問題に介入することが重要になります。
もちろん、ストレス対策においては、リラクセーションを
第一目的として導入しなければならないことはいうまでもありません。