背景

 ストレスと感じる対象(ストレス刺激)は、

小学生においても多岐にわたり、

家庭環境の問題から友人や教師との対人関係における問題、

勉学に関する問題までさまざまである。


 ストレス刺激に耐えられない場合には、

身体面の反応(頭痛・腹痛・嘔気・倦怠感など)、

心理面の反応(うつ・不安・イライラ・不眠・無気力など)、

行動面の反応(いじめ・暴力・通勤通学に関する変化など)

が生じうるが、

これは、成人のみならず児童にとっても

同様の現象である。


近年、児童のうつ状態や不登校などが社会問題として

取り沙汰されていることは、周知の事実である。

 とりわけ児童では、上記に代表されるストレス反応が、

やがて、青年期以降の人格の偏りや精神疾患へ発展していく可

能性もあり、早期の対処が必要となる。


 ストレス反応に対処する非薬物療法のひとつとして、

リラクセーション法の効果が報告されてきたが、

これは、学校における取り組みも徐々に広がってきており、

その成果が注目されつつある。


 そこで、増大する児童のストレス反応の改善を期待して、

リラクセーション法のひとつであるホメオストレッチを

活用することとした(※ホメオストレッチは、全身の筋をリラックスさせることにより筋バランスを調整し、心身のリラックス状態を得るリラクセーション法の一つである)。

目的

 児童に対し、リラクセーション法のひとつである

ホメオストレッチを施し、筋バランスの改善を示す

脚長差の改善度、およびストレス反応の改善度を

検討することを目的とした。


対象

 ストレスケアのためのホメオストレッチの概要、

および研究にデータを使用する可能性があることに

ついての説明を行い、保護者とともに同意の得られた

小学校の生徒4年生77人および5年生69人(20021月現在)


方法

 20021月~20031月に、休憩時間・放課後に校内において、

BTUのボランティア15人により、112分のホメオストレッチを、

4-12日間に1回の割合で全31回施行した(長期休暇中は施行せず。)



ホメオストレッチ介入後、脚長差、抑うつ・不安感情、

不機嫌・怒り感情、無気力改善がみられた。

特に、無気力、4(現5)年生男子における脚長差、

5(現6)年生女子における抑うつ・不安感情、

5(現6)年生男子における不機嫌・怒り感情については、

有意な改善がみられた。



最終介入日から85日間のホメオストレッチ中断を経たのちにも、

脚長差、ストレス反応の各値の悪化はみられず、

抑うつ・不安感情に関してはさらに改善をみせた。



結論

 小学校高学年児童に対するホメオストレッチの継続は、

左右の筋バランスの改善とともに、

ストレス反応の改善をももたらし、

抑うつ・不安感情、不機嫌・怒り感情、無気力は

明らかな改善を見せた。


これにより、ホメオストレッチは、

成人のみならず児童においても、

ストレス反応へのリラクセーション介入の

一手段として有効であることが示唆された。

また、ホメオストレッチ終了後のフォローアップ期間に

おいても各指標とも悪化せず、効果の持続が示された。