世阿弥は、上手になりはじめた頃が最も危険な時期だと見ている。


まわりから誉めそやされるままに、


「時分の花」を「真実の花」と見誤り、


咲き誇った花を枯らせてしまう。


その花の種を取り、されに優れた花を咲かせてこそ


「誠の花」となるのであって、


それが「初心を忘るべからず」ということの意味である。



(『風姿花伝』岩波文庫)