勤労者の環境や境遇はじめタスクが急速に変化して、勤労者はこれまでにないストレスに対応しなければならなくなっています。


しかし、現状の健康維持中心のプログラムや外部から与えられた健康メニューに取り組むだけでは、社会情勢に左右されてしまい、急激に変化する社会が生み出す、新たなストレスに対応できなくなってきています。


メンタルケアをより有効に進歩させて行くためには、ストレスを正しく理解して、心理面、社会面も含めて総合的、統合的にみていく全人的なアプローチが必要になります。


ストレスについて



刺激(ストレッサー)を受ければ、生体はこれらに適応しようと働き、生体はストレス反応を引き起こします。


しかし、人間関係、仕事、不安感などの現代社会の特徴的とも言える過度なストレッサーや持続的なストレッサーは、しだいに、個人の持つ適応力の限界を疲弊させ、内部環境を調節する自律神経系、内分泌ホルモン系、免疫系、筋骨格系にストレス反応(出力)としてトラブルを引き起こして、その結果、心を含む身体全体に様々な問題が発生するようになります。


このようなストレスからくる諸問題は、モデルとして、生物的因子(身体)に働きかけていく方法と、成長(学習)モデルとして、自己生成因子(心理)に働きかける方法が考えられます。


また、ストレスが性格要因や環境要因の両面の関与を考えると、ストレスが起因する問題には心身両面のアプローチをしていかなければなりません。


また、ストレスの評価、診断も簡単ではありません。それは、心理社会的な問題や個人差があるからです。


これまでにも、各種の心理質問票や社会適応スケールなどが用いられることがありますが、外部から見た評価と本人のストレスの相関は必ずしも一致しないケースがあります。


さらに、生理学的なストレス検査では、筋緊張、心電図、瞳孔反応、心拍出量、精神性発汗、コーチゾールなどの指標、最近の研究では、唾液中のタンパク、クロモグラニンAを検出する方法がみられます。


しかし、これらは、客観性はあるものの、あくまで本人がストレスを意識あるいは、自覚した状態でなければ、検査そのものを受ける動機が希薄になり、ストレスを持ちながら生きられることを考えると、ほとんど無自覚な状態を含めて、ストレスを黙認、回避している中で、ストレスを計測する機会を持てる人は稀です。


このようなことから、ストレスと心の関連性をより知るためには、以下のような課題があると考えます。


無理なストレス状態の多くは無自覚(または、無理解)であり、それがストレスの理解や自覚の壁になっている。


したがって、ストレスを科学的に計測することが不可欠である。

そのためには、科学的知見に基づいた簡便なストレス評価法の標準化が必要。


さらにストレスを精神論で片付けない。



 ストレス学説を提唱したハンスセリエ以来、これまではストレスを知る時代であったとすれば、これから50年は、ストレスをコントロールし、マネジメントする時代ではないでしょうか。