私たち人間の祖先たちも、かつては、日々の暮らしの中で、生存を脅かすような危険に直面し、全力を尽くして立ち向かわなければならなかったに違いありません。


現代の私たちの生活はどうでしょう。もちろん、道でライオンに遭遇することはありません。


たとえるなら、隣に座っている苦手な上司、昇進試験、人間関係のトラブル、将来への不安など、目の前に立ちふさがる問題が、ライオンでしょう。


カナダ人の生理学者、ハンス・セリエは、どんな種類の刺激(=ストレッサー)に対しても、同じ反応が生じることを明かにしています。



ライオンに遭遇したシマウマでも、仕事に忙殺されるビジネスパーソンでも同じで、「あらゆる刺激に対して同じような体内の変化が起こる」ということです。



つまり、苦手な上司に怒られているとき、あなたのカラダでは、大なり小なり、心拍数、血圧、血糖値を上げてエネルギーをため、筋肉を緊張させて、問題に立ち向かう準備を始めているのです。


カラダは実に働きものですね。ところが問題があります。



私たちの社会では、苦手な上司から逃げるわけにはいきませんし、上司と取っ組み合いのケンカをして戦うこともできません。するとどうなるでしょう。



きらいな上司に立ち向かうために準備したエネルギーは、カラダにそのまま残されることになります。このために、家に帰ってもイライラが残ったり、緊張した状態のまま眠れないということが起こります。



高エネルギーで緊張した状態が続くと、全身が徐々に疲弊します。


ストレス自体は決していけないものではありませんが、全身が疲弊するようなストレス、すなわち、次のような「無理なストレス」はときとして危険なものに変わります。

・刺激が大き過ぎるとき


・ストレスが継続的に長期間にわたるとき