「行動的な人ほどストレスが自覚できない」という点に関連して、文部科学省の疲労研究班(2012年現在、厚生労働省に引き継がれています)による興味深い研究結果がありますので、ご紹介しましょう。


ストレスとも関わりの深い「過労死」に関して調べるために、ネズミを使って実験したものです。


ネズミを日間、毎日水槽で分泳がせ、脳の変化を観察するという手法です。ちなみにネズミは泳げる動物。おぼれることなく30 分泳ぎ続けられるといいます。


結果は次の通りになりました。



1日目30 分間泳いだネズミは、ぐったり眠ってしまい、長い時間起きてこない。

3日目泳いだ後、ぐったり眠る時間が短くなる。

7日目泳いだ後、ぐったりと眠ることが少なくなる。

10 日後、ネズミたちは眠ることもしなくなる。



10 日間も毎日続けて泳いだことで、ネズミたちはその状況に慣れて適応し、寝なくてもパワー全開で泳げるようになったのでしょうか。


答えはNO です。


ネズミたちの脳を調べてみると意外なことがわかりました。


脳にある、疲れを感知するセンサーが働かなくなっているのです。



つまり、自分が疲れていることがわからなくなって、休むことをしなくなっていたのです。



人間に置き換えてもう少し詳しく説明します。


人間には脳の眼窩前頭葉 (目の奥のほうにあります)というところに、疲労を見張るセンサーがあり、疲れてくると脳に「休め」のサインを送ります。すると、人は疲れを感じて休息を取ります。



ところが、「休め」とサインを送っているのに、休まずに働き続けていると、このセンサーが作用しなくなり、疲れを感じなくなってしまうのです。


危険な状態のまま働き続けることになり、結果として過労死につながってしまうというわけです。



実際にはストレスや疲労があるにも関わらず、忙しく働き続けていると、それらを実感できない場合があるのです。



疲れていないと思っても休息をとったり、ストレスがないと思ってもストレスケアをすることはとても大切なのです。