セリエは、ストレッサーに対する生体の適応現象である適応症候群には、全身反応である「全身適応症候群」と局所反応である「局所適応症候群」があると説明しています。




全身適応症候群とは我々の生体が連続的にストレッサーによって刺激される場合に全身に生じる適応現象のことであり、次の3つに区分できます。



第1期・警告反応期とはストレッサーによる身体の緊急反応の時期で、さらにショック相と反ショック相に分かれています。



ショック相とはショックに対する適応以前の状態で、体温低下・血圧低下・血糖値低下・神経活動の抑制・筋緊張・血液の濃縮・組織の崩壊・急性胃腸潰瘍などが出現してきます。


これは数分、長い場合は1日くらい続いた後、次の反ショック相に移行していきます。地震の際のショック死などショックが強すぎる場合には死に至る場合があります。



反ショック相とはショックに対する生体防衛反応が現れはじめる時期です。副腎肥大・胸腺リンパ組織の萎縮・血圧上昇・体温上昇・血糖値の上昇・神経活動の上昇(交感神経優位)・筋緊張の増大などが見られます。



筋肉が緊張する前の段階では、足がガクガク震えたり、腰を抜かしたり、逆に筋肉が弛緩する状態が見られることもあります。



第2期・「抵抗期」または「防衛期」とも言いますが、これは、持続するストレッサーと生体の抵抗力が一定のバランスをとっている適応状態であり、生体防衛反応が完成された時期です。


環境に慣れて、うまく自分を処理できている状態であり、その適応状態を持続することが可能になります。




しかし、高エネルギー状態である「ストレス」の持続により、適応エネルギーが消耗すると、適応力が徐々に低下して、「疲はい期」に入ってしまいます。

リラクセーション。プログラムによりストレスケアを行うには「抵抗期」(防衛期)が最適な時期です。




しかし、本人は環境に適応できて、気持ちも亢進して、頑張れている状態なのでストレスがあるという自覚が得にくい時期でもあります。


したがって、その時点で、リラクセーションに関心を持ってもらい、興奮・緊張状態をクールダウンさせていくことが重要なストレスケア・カウンセラーの視点になります。



疲はい期では、既にうつ病などの重大な病気になっていたり、自然治癒力や体を再活性する力が減退して、回復に時間がかかるので、その前の警告期・防衛期にリラクセーション・プログラムとしての介入をすべきです。



防衛期では、思考や生活習慣の無理を身体が表現している時期です。首や肩の凝り、腰痛、朝起きられない、体がだるい、やる気がでないなどの様々な不定愁訴は、ストレスケアを必要としている「防衛期」のサインですが、それを無視して放置するか、対症療法しか行わなければ「防衛期」を長く過ごすことになり、結果として「疲はい期」を早めてしまうのです。




防衛期のケアの問題は、医学では対処が困難な問題(特定の疾患が見当たらない)であり、まさに「リラクセーション・プログラム」によるストレスケアの領域なのです。




「疲はい期」は我々の自然治癒力や抵抗力が失われた状態です。最初のショック相と似たような兆候である体温低下、胸腺・リンパ節の萎縮、副腎皮質の機能低下、免疫の機能低下を見せる。この疲はい期が続くと、やがて死に至ることになってしまいます。



こういったストレス反応は、特に人間関係に関しては深刻です。



私たちが社会でイキイキと生きていくためには、自分の周りの人々との人間関係が重要です。無理なストレスは、自分中心の考え方になりやすく、他人を思いやったり、他人の心に共感するといった感性が損なわれるのです。




自分は正しく、相手は間違っているという認知は、無理なストレスから出現してきます。身体が「戦うか、逃げるか」の選択を迫られているときには、適切な思考は閉ざされてしまうのです。



まずは、自分の世界に閉じこもらないためにも、自分のストレスを客観的に評価することをお勧めします。



ストレスに対して「自分はストレスがない」と考えている人ほど、ストレス指数が高い傾向にあります。


なぜならば、適度なストレスは人生に有益なのです。その人生と不可分なストレスを「ない」というのは、一つの強迫性とも受け取れます。




ストレスは、毒にも薬にもなります。大切なことは、どう処方するかという問題です。効果的なストレス対策は、「自己成長」を目指すことに尽きます。