認知療法の基礎は、「人の気分というものは、


現実の物事や状況によるのではなく、


その人の物事のとらえ方によって左右される」という事実から出発します。


エピクテートスというローマ時代の哲学者の言葉が、


この事情をよく語っています。


「人を悩ませるのは、事柄そのものではなくて、事柄に関する考えである。」  

                        (エピクテートス「提要」)




つまり、人の気分というものは、客観的な事情によるというよりは、


むしろ多くの場合、自分の主観的な考えや感じ方によるのだ、ということです。



例えば、同じような困難な状況に陥っても、ある人は前向きに切り開いていき、


また別の人は後悔をしたりして前に進むことができない、と言うようなことです。


逆に考えると、人の気分は、


その人の考え方や感じ方によって変わるということになります。


また、このことは、ストレスに弱く、


すぐに落ち込むような考え方・感じ方と、


ストレスに強い考え方・感じ方というものがあるといえます。




ストレスに強い考え方とは、我々に起こる一切のことは、


我々にとって必要なことだという認識で受け止めることです。


例えば、石につまずいたときに、


「誰がこんなところに石を置いたんだ」と憤慨するのではなくて、


「石君ありがとう。君はこの先にある危険を教えてくれたんだね。」と


考えて注意することです。


また、「人から好かれるべきである」と固定的に考えるのではなくて、


「人から好かれるに越したことはない」とゆるやかに考えたほうが


ストレスになりません。