日本の福祉を考える

今年刊行される書籍は、「認知症、介護問題」と「発達障がい問題」です。

著者はストレスケアカウンセラー資格を持つ、

その分野の専門家。先日、出版編集長や著者と打ち合わせをしていて、

改めて日本のセーフティネットの脆弱さを感じ、

これからの福祉制度について考えみます。

 

公助か自助か

日本は、福祉の手厚い北欧型か自己責任タイプのアメリカ型、

一体どちらの国を目指すべきなのでしょうか。

この点をはっきりさせておく必要があるでしょう。

福祉には、自助・共助・公助という三原則があります。

もちろん、日本は公助を重視しています。

そのため、国民は政府に対する依存度が高い国になっています。

また、共助も重視され、地域やNPOなどの機関によるサポートも啓発が進んでいます。
一方、アメリカは自助が中心です。自らを救えない人は、

ほったらかしになっています。

強者優先の社会であり、強い者はどこにでも強く、

所得も多くで、病気に対するマネジメントも行います。

他方、恵まれない人は、かなり困難な状況になるということです。

しかし、こうした考え方は、日本にはなじみません。

 

高負担、高福祉

しかし、北欧型をそのまま日本に適用できるかというと、

簡単ではないでしょう。北欧は高福祉・高負担です。

公助は完備され、共助もそれを税金によりしっかり補完しています。

しかし、何よりも注目しなければならないのは、

公助でありながら自助重視の政策と国民への啓発に取り組んでいることです。

他方、日本は中負担・中福祉です。

医療福祉制度の内容は中途半端で、自助、セルフケアの精神も未発達です。

財源制約の中で、質の向上を目指すことは可能か?
福祉の真価は、高いサービスの質によって、

どれだけ安心を提供できるかということにかかっています。

医療は福祉の基本ですから、日本でこれが可能かは重要な問題です。

質の向上のためには、まず、人材を含めた資源を増やさなければいけません。

しかし、それは当然コストがかかります。

現状でいえば、日本の税負担は高くありません。

日本は重税だと思われる人がいますが、

国民負担率や企業の負担率で見てみると、

先進国の中で最低になっています。

また、日本の国民負担率は高いといっても

およそ42パーセント(2017年度)です。

それに対して欧州(2014年)ですが、イギリスは46パーセント、

ドイツは53パーセント、スウェーデンは56パーセント、

フランスは69パーセントにもなります。

また、社会保障財源をどれだけ事業主が負担しているかといえ、

日本は6パーセント、イギリスは8パーセント、

ドイツは10パーセント、フランスは14パーセント、

スウェーデンは11パーセントです

(日欧社会保障関係統計 2013)。

日本の水準は、先進諸国の半分しかありません。

 

社会の担い手になるストレスケアカウンセラー
仮に欧州型の社会福祉を目指すなら、

負担を倍増する必要があるでしょう。

しかし他方、それに見合った質の向上が可能なのかも問題です。

負担が増大するだけでは、当然、国民は受け入れないでしょう。

したがって、負担に見合った質の高いサービスを提供し、

人々の生活を本当に安心なものにする国をつくれるかどうかが、

最も重要な政策課題です。

財源が制約されている中で、

最大限の質の向上を目指すことが可能なのか。

これを問わなければいけません。

 

日本は中税、中福祉の路線を進めています。

アメリカと北欧の中間的なものですが、

税負担制度を理解できない人にとって、

欲求不満が高まっていくことは避けられません。

ストレスケアとは、自己実現を目指すために、

ストレス因子である心理社会的問題をどう考え

どう乗り越えるかを自分自身で開始し、

遂行する諸活動の実践です。

また、ストレスケアにおける「健康」は生きる目的ではなく、

日々の生活を「幸福に送る」ための自己実現的資源であり、

ストレスのリスク因子を回避する社会的資源であることを

強調した積極的な概念になります。

そして、ストレスケア社会の発展は、

「すべての人があらゆる生活の場で幸福や健康を享受することのできる社会」

を果たしていくことになります。

自己成長を基盤にして、家庭に1人、

職域にストレスケアが出来る人を育てていくことは、

中負担・中福祉の日本の社会の中で

今後、かけがえのない大きな役割を担っていくことができます。